ネズミと反実仮想

神経科学の勉強記録。

David Marr


デビッド・マーは彼の著書"Vision"の中で、脳を理解するためには異なる3つのレベルでの理解が必要であると主張し、情報処理システムとしての脳を研究するための指針を与えた。3つのうち最上位のレベルは抽象的な計算理論である。そこでは、計算の目的は何か、何故それが適切なのか、そしてその実行可能な方略の論理は何なのかということが問われる。また、最下層のレベルはハードウェアのレベルであり、明らかとなった計算問題がどのような物理的な機構により解かれているかというものだ。具体的には神経細胞や神経回路などが対象となる。さらに、この上位の計算理論と下位のハードウェアのレベルをつなぐ概念としてアルゴリズムと表現というレベルがある。これは、脳に入出力される情報の表現および入力から出力に変換するのに用いられるアルゴリズムについてのレベルで、上位の計算理論がハードウェアの上でどのように実現されるのかを理解しようとする。マーによる以上のようなレベルを意識して、上位のレベルから研究を行うアプローチを計算論的神経科学という。

計算理論(computational theory)
計算の目的とその適切性を議論し、実行可能な方法の論理を構築
アルゴリズムと表現(algorithm and representation)
計算理論の実行方法。特にその入力と出力の表現と変換のためのアルゴリズム
ハードウェアによる実現(hardware implementation)
表現とアルゴリズムの物理的な実現

 このような定義に沿って行われる計算論的アプローチは、神経生理学などから実験的に集められた神経細胞の動作や結合などの知見からボトムアップ的に脳の情報処理の仕組に迫る方法とは逆に、脳が行っている情報処理の計算理論から順に情報表現やアルゴリズム、神経回路の構成としてのハードウェアの仕組を解明するというトップダウン的な手法である。

計算論的神経科学 日本語版Wikipediaより

メモ

http://www.jneurosci.org/content/37/40/9603

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/092800138/00002/?ST=SP&P=2

http://www.jneurosci.org/content/37/40/9593

http://m.nautil.us/issue/47/consciousness/we-need-conscious-robots

https://www.shadlenlab.columbia.edu/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3919818/

MT野 関連 日本語

http://www2.bpe.es.osaka-u.ac.jp/labmembers/fujita/pdf/jikkennigaku_Vol21No17_2003.pdf

まぼろしの腕

マウスやラットの確信度は測れるのか?

There are things that we know that we know, and there are things that
we do not know we do not know: Confidence in decision-making
Piercesare Grimaldi (2015)

In a similar spirit, Son and Kornell (2005) trained rhesus macaque
monkeys to distinguish the length of two lines. After the monkeys made
their decision, consisting of choosing the longest line, they were
required to rate their confidence in their decision by making a bet,
that is, a retrospective task. Two betting options were represented by
two choice targets. If the monkeys chose the low bet target, they
received a small reward, regardless of whether their previous response
on the discrimination task was right or wrong. If they chose the high
bet target, they received a large reward for correct responses and no
reward for incorrect responses. Monkeys generally chose low rewards
more frequently in difficult discrimination trials indicating that
they knew when they did not know. The same monkeys engaged in the same
betting strategy during a dot-density discrimination task, showing
that they could generalize their reports of confidence to different
tasks. Similar approaches have been used to study confidence in
smaller mammals such as rodents. Foote and Crystal (2007) trained rats
to discriminate the duration of sounds. In each trial, the rats were
able to choose if they wanted to take a test or not. Similar to the
monkeys, rats chose to avoid the test when the stimulus was ambiguous.
彼らがハイベットの目標を選んだ場合、彼らは正しい応答のために大きな報酬を受け取り、間違った応答の報酬は受け取らない。サルは一般的に困難な差別裁判でより低い報酬を選んで、知らなかった時を知っていたことを示しています。同じ猿が、ドット密度差別化タスクの間に同じ賭け戦略に従事し、彼らは異なる仕事に対する信頼の報告を一般化できることを示した。類似のアプローチが、げっ歯類のようなより小さな哺乳類における信頼性を研究するために用いられてきた。
Foote and Crystal(2007)はラットに音の持続時間を弁別するように訓練した。各試行で、ラットは試験を受けたいかどうかを選択することができました。サルと同様に、ラットは、刺激があいまいであるときに試験を避けることを選択した。


"Neural correlates, computation and behavioural impact of decision confidence."
Kepecs A(2008)Nature

"When confidence and consciousness collide: neural and computational
approaches to understanding how the brain creates subjective
experience"
Megan Peters (2017)
https://www.labroots.com/webinar/confidence-consciousness-collide-neural-computational-approaches-understanding-brain-creates-subject

とはいえ、最も難しい問題、つまりコーディングの謎についてははいまだに解決されていない。どのように個々のシナプス伝達効率の持続的な変化や個々の細胞の興奮性の変化が、物事や場所を記憶するのに役立っているのだろうか23?
記憶はある種の協調したニューロンの活動によるのだろうか? 想起はどのようにして起こるのだろうか18?
こうした未解決の問題は山積みではあるが、その一方で、LTPの研究が既に長い距離を走ってきたこともまた確かである。

http://www.gaya.jp/research/LTP.htm

意識学のすすめ2

意識とは何なのだろうか。この定義は未だ明確に定まっていない。一般には「起きている状態にあること(覚醒)」または「自分の今ある状態や、周囲の状況などを認識できている状態のこと」とも述べられている。宇宙や生命の起源とも並ぶ最大の謎に対して,哲学に始まり心理学や神経科学といった様々な手法を用いてアプローチがされてきた。意識研究が扱う問題はハードプロブレムとイージープロブレムに分けられる。大まかに説明するとハードプロブレムとは物理的な存在である脳からなぜ心が生まれるのかという問題,イージープロブレムとは脳における情報処理の物理的過程(神経活動など)を扱う問題のことである。このハードプロブレムといえど決して解決不可能な問題ではない。近年,脳で起こった現象を直接,意識研究へと繋げるのではなく,脳→情報→意識と捉えることで意識を情報科学の問題として扱う「統合情報理論」が発展してきた。この理論は意識を“情報”として扱うことで数学の問題として扱えるメリットが有る。この流れのなかで金井先生は意識を学問として扱うため3つの分野を提唱している。1つ目は心理学や神経科学から成る実験意識学,2つ目は仮説の創出を役割とする情報統合理論をはじめとした理論意識学,3つ目は閉じ込め症候群の治療やロボット・人工知能への応用を目的とした応用意識学である。


NCCの致命的欠陥
意識を機能として理解している点。(どういう意味?)

意識を計るには

客観的弁別能力も応答も4通りにわけられる。

刺激 報告 正誤

あり あり ○

あり なし ☓

なし あり ☓

なし なし ○

Type I signal detection theory hit rate false alarmこれを補正できる。

刺激が主観的に見えていない場合でも勘で答えたものの客観的パフォーマンスが偶然の確率より高いことが多々ある。E.g.錯視。

これを切り分けるには主観的確信度を計る。

自信 高 低

                                                    • -

応答 正 誤

応答 誤 正

信号検出理論で見えた,見えないを切り分ける。

TypeII Signal detection theory



Perceptual blindness(はっきり見えない)とAttentional Blindnessn(見逃している)

Lau&Rosenthal 2011 HOT理論

Stimulus→First order→Higher order

↓ ↓

Task performance Subjective performance



Lau & Prassingham (2006)

無理やりマスクされた課題が◇か○か,,,

脳の構造とメタ認知の関係。Fleming et al. 2010

Sherman (2015):トップダウン注意と期待は区別できる。

Sherman(2016):prediction error and confidence

Komura(2013) Nat.neuro.:ムシモルで脳の一部を阻害すると自信がなくなる。!!左の視野の自信は右脳にムシモル入れると自信無くなる。

Kanai et al. 2015: Pulvinarは予測誤差のゲイン調節か。

Kepecs et al. (2008): ラット確信度の調査。”Neural correlates, computation and
behavioural impact of decision confidence.” Kepecs A, Uchida N, Zariwala
HA, Mainen ZF.

Decision uncertainly

動物でもメタ認知の実験はできる。Totalでメタ認知できたかはわかるが,trialごとにはできていない。

メタ認知 自信のある なしだけでない。

全部見えているという感覚はなぜ生まれるのか。←本来視野の端っこは解像度が低くchange blindness
など色々気がつかない。しかし見えている感じはする。報告できない現象的意識は存在するのか。Sperling 1960

LammeやKouiderの実験。

Phenomenal consciousness はクオリアaccess consciousnessは報告可能なだけの..???



ドゥアンヌGlobal consciousness frontal cortexに存在



クオリアは分解ではなく,結合が起こっているのでは。

遺伝的な結合もあるが訓練や学習によって「赤の赤らしさ」は生まれている?




Li et al. 2002
注視点のあたりに文字を出す。さらに視野の端に何か文字や画像を見せる。(attentionが必要)視野の端に逆さまのT

を出しても判別できない。しかし動物をだせばその種類はわかる。これはクオリアでは。しかし中心の文字とか含めたクオリアになってしまう。動物単体のクオリアではない。

VanRullen(2004): トップダウン注意の必要性の例。

訓練で新しいクオリアができる。トレーニングによって(例えば外国語の文字とか)クオリアを獲得してそのクオリア生成をしている回路はトップダウン注意によって情報のバインディングに影響を受けない。

日本人の場合LとR
の音は強制フュージョンが起こっている。感覚野レベルでは識別している。脳内での表象は刺激の種類・性質による。聴覚野に視覚入力を入れるとそこは視覚野の情報配置(脳表に各ガボールフィルターが離散的に存在する。)音入力の場合皮質に連続に表彰されている。

Attentionかけずに弁別できるもの。それはクオリア

Dual task において見ているクオリアはrerative qualiaでしかない。対義語absolute qualia。


Crick&Koch
「V1仮説」V1

は感覚情報の解釈の生成の場に過ぎず,意識とは行動計画と制御に利用されるに過ぎない。前頭前野への投射が必要であり,V1は直接投射していないのでNCC
に含まれない。

Frith et al. 1999
錯視はV1段階においては正しく表現されている。刺激を固定し近くを変える方法として両眼視野闘争などある。
Tong et al. 1998
人のMRI実験。多分Binocular Rivalryについて
Logothis?? Et al. 2003
Neural Correlates of BOLD signal BOLDとLFPは相関する。
Maier et al. 2008
BOLD vs Spike inV1
Jiang et al. 2007
主観的な見え方は一緒だけど刺激は違う。V1-V4まで刺激を弁別していた。しかし意識には上っていない。
Fang and He 2005
DorsalPathwayはあまり意識に登らない。
Milner et al. 1991
視覚性失認DFさんは角度は口で表現できないが,手の動きは追従して行える。
Schwarz
V1表面積をfMRIで計測し,その面積と錯視の影響を調べた。
Dehaene 2001
”見えている”とき前頭頭頂野NetWorkが働いている事が多い。
Super et al. 2001
フィードバックが意識を起こすのでは。
Lamme 2003
V1記録しながらタスクさせる。部位間のやりとりのFeedback

が意識を起こすのでは。背景刺激のマスキングを使っている?重要かも。V1,V2のローカルなプロセスフィードバックだけで意識が生まれる。

Dehaene 2006
frontal cortexは口頭で報告するために必要
Pascual-Leone & Walsh 2001
神谷先生によると「嘘でしょ」ということ。V5をtDCS?で叩くとV1

フィードバックがなくなり知覚しにくくなる。

Murayama 2015
M2→S1のフィードバックを抑制すると刺激弁別ができなくなる。このレベルで意識?知覚?がなくなる!
Aru et al. 2012 review
「見えた」「見えなかった」ではなくNCCににおいてもNCCpre段階,NCC,NCCpro

段階で分けられる。NCCpreとは無意識に活動が深まっていたり,注意を向けている影響で高くなっているとき,NCCproとは見たことで生じる感情とか?,

Wilke 2009
ノーリポートパラダイム視床枕のニューロンは主観的見え方に応じてmodulateしている。 LFPは報告依存で変化している。

Pulvinarが部位間の連結をしているのでは。

Kanai 2011
consciousness & cognition
Lau&Rosenthal 2011
HOT理論

MODULATION OF SYNAPTIC TRANSMISSION BY ADENOSINE IN LAYER 2/3 OF THE RAT VISUAL CORTEX IN VITRO

MODULATION OF SYNAPTIC TRANSMISSION BY ADENOSINE IN LAYER

2/3 OF THE RAT VISUAL CORTEX IN VITRO

Bannon NM, Zhang P, Ilin V, Chistiakova M and Volgushev M.

Neuroscience 260 (2014) 171–184


アデノシンとは

アデノシンはシナプスから小胞を介して放出されないため神経伝達物質ではない。しかし

神経修飾物質やイントラメッセンジャー(?)としての役割が知られてきた。

放出

ATPやAMPの分解によって産生される。

アデノシン受容体

アデノシン受容体はA1、A2A、A2B、A3の4種類のサブタイプが存在する。

脳ではとくにA1、A2Aが発現している。主にA1は抑制、A2Aは促進の作用を持つ。A1のほうがA2Aよりアデノシンに対する親和性が高い。さらにA2AはA1に対する抑制という形で作用する。


先行研究

主に海馬や線条体でアデノシンの影響は特に調べられてきた。

しかしA1とA2aの相反する作用や受容体分布の違いにより、脳全体や細胞タイプ毎でのアデノシンの影響は一般化できていない。

今回の論文は、ラット脳スライス切片を用いてV1 2/3層の錐体細胞に着目しその影響を調べ、特にEPSP、mEPSP、膜コンダクタンス特性について扱っている。


Abstract

具体的には

同時にEPSP,EPSCが減少することはpaired pulse ratioの増加をもたらす。

アデノシンのこれらの影響はA1R阻害剤によって妨げられる。

これは

シナプス前段階で”伝達物質の?”放出確率を減らすこと が考えられる。

さらに

シナプス後段階では、膜電位を過分極させ入力抵抗を減らしていた。これもA1



A2a阻害剤とアデノシン高濃度投与(A1だけ大きく効かせる)によって

EPSPの振幅が更に減った。

またA2aアゴニストによって

A1依存的なmEPSPの頻度が増加した。

このようにA2aはシナプス前段階でA1による抑制を抑制することでfacilitationの作用を持っている。




fig1

濃度依存的にアデノシンはEPSP、EPSCを減らす。

Paired puslse ratio(PPR)の増強。PPRは短期増強

mEPSPの頻度を減らす。











考察

アデノシンによる2/3層の錐体ニューロンの抑制。

主にA1Rによるもの。A2aRはfacilitationの作用があるがアデノシンとの親和性がA1より低い。



Presynapse





Post synapse

A1R activation decreases input resistance and hyperpolarizes layer 2/3 pyramids.

K+Channelのコンダクタンス変化

まとめ


*

質問

mEPSPとは
活動電位によらない自発的なEPSP。

https://www.researchgate.net/post/What_is_the_exact_difference_between_spontaneous_sEPSP_Cs_and_sIPSP_Cs_and_mini_mEPSP_Cs_and_mIPSP_Cs_postsynaptic_potentials_or_currents

2/3層の錐体細胞
錐体細胞は興奮性シナプス伝達を出力する。V1の2/3層ニューロンは一般に4層からの入力を受け、他の皮質領野へ出力する(FeedForward)。また他の皮質領野からの入力も受ける。
Paired Pulse Ratioを何故見ている
Cs solutionに置換し、NMDA阻害する理由