ネズミと反実仮想

神経科学の勉強記録。

MODULATION OF SYNAPTIC TRANSMISSION BY ADENOSINE IN LAYER 2/3 OF THE RAT VISUAL CORTEX IN VITRO

MODULATION OF SYNAPTIC TRANSMISSION BY ADENOSINE IN LAYER

2/3 OF THE RAT VISUAL CORTEX IN VITRO

Bannon NM, Zhang P, Ilin V, Chistiakova M and Volgushev M.

Neuroscience 260 (2014) 171–184


アデノシンとは

アデノシンはシナプスから小胞を介して放出されないため神経伝達物質ではない。しかし

神経修飾物質やイントラメッセンジャー(?)としての役割が知られてきた。

放出

ATPやAMPの分解によって産生される。

アデノシン受容体

アデノシン受容体はA1、A2A、A2B、A3の4種類のサブタイプが存在する。

脳ではとくにA1、A2Aが発現している。主にA1は抑制、A2Aは促進の作用を持つ。A1のほうがA2Aよりアデノシンに対する親和性が高い。さらにA2AはA1に対する抑制という形で作用する。


先行研究

主に海馬や線条体でアデノシンの影響は特に調べられてきた。

しかしA1とA2aの相反する作用や受容体分布の違いにより、脳全体や細胞タイプ毎でのアデノシンの影響は一般化できていない。

今回の論文は、ラット脳スライス切片を用いてV1 2/3層の錐体細胞に着目しその影響を調べ、特にEPSP、mEPSP、膜コンダクタンス特性について扱っている。


Abstract

具体的には

同時にEPSP,EPSCが減少することはpaired pulse ratioの増加をもたらす。

アデノシンのこれらの影響はA1R阻害剤によって妨げられる。

これは

シナプス前段階で”伝達物質の?”放出確率を減らすこと が考えられる。

さらに

シナプス後段階では、膜電位を過分極させ入力抵抗を減らしていた。これもA1



A2a阻害剤とアデノシン高濃度投与(A1だけ大きく効かせる)によって

EPSPの振幅が更に減った。

またA2aアゴニストによって

A1依存的なmEPSPの頻度が増加した。

このようにA2aはシナプス前段階でA1による抑制を抑制することでfacilitationの作用を持っている。




fig1

濃度依存的にアデノシンはEPSP、EPSCを減らす。

Paired puslse ratio(PPR)の増強。PPRは短期増強

mEPSPの頻度を減らす。











考察

アデノシンによる2/3層の錐体ニューロンの抑制。

主にA1Rによるもの。A2aRはfacilitationの作用があるがアデノシンとの親和性がA1より低い。



Presynapse





Post synapse

A1R activation decreases input resistance and hyperpolarizes layer 2/3 pyramids.

K+Channelのコンダクタンス変化

まとめ


*

質問

mEPSPとは
活動電位によらない自発的なEPSP。

https://www.researchgate.net/post/What_is_the_exact_difference_between_spontaneous_sEPSP_Cs_and_sIPSP_Cs_and_mini_mEPSP_Cs_and_mIPSP_Cs_postsynaptic_potentials_or_currents

2/3層の錐体細胞
錐体細胞は興奮性シナプス伝達を出力する。V1の2/3層ニューロンは一般に4層からの入力を受け、他の皮質領野へ出力する(FeedForward)。また他の皮質領野からの入力も受ける。
Paired Pulse Ratioを何故見ている
Cs solutionに置換し、NMDA阻害する理由